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高伝達率が0.28となっている。また、T=2.0s,H=8cmでも、0.42と比較的小さい値である。ただし、水深が2倍で周期が21/2倍の場合には、動水傾度が0.7程度でも波高伝達率は0.6程度とあまり低下していない。
図−5は、地盤の厚さを20cmと1/2倍にした場合である。この地盤厚さで水深が25cmのケースでは、動水勾配が0.77程度でも波高伝達率はやや高く、0.58から0.7程度である。水深が40cmのケースでは、同じ周期で波高が約2倍の波を作用させているが、波高伝達率は0.7から0.9とかなり高くなってしまう。
図−6は、波作用時の間隙水圧を詞べたものであり、波による変動成分(片振幅)p+とゼロレベルの給水前からの上昇分pを示している。横軸は、砂地盤表面からの間隙水圧計の深さzをとっている。バルブ調度が小さい(静水時の動水勾配が小さい)ときは、同じバルブ調度で波作用前の間隙水圧が同じであっても、波の作用によって間隙水圧のゼロレベルが変化している。特に、バルブ調度1/8の場合は波の周期による違いも大きく、T=1.0sは、他の周期に比べて6gf/cm2程度ゼロレベルが高くなっている。これは、砂の動きによって実質的な透水係数が変化するためと考えられる。この傾向は、特にバルブ開度が小さいときに顕著である。これは、少しでも上向き浸透流があると波によって液状化が発生しやすくなる可能性を示しており、特に注目すべき点である。一方、波による変動成分を見ると、バルブ開度が大きいほど間隙水圧の変動も大きくなっており、液状化するほど波の圧力が砂地理内に伝播することがわかる。
図−7,8は、波作用時の砂面の動きを測定した結果で、それぞれ波高に対する砂面の全振幅の比Rd/Hiと、砂面と水面の位相差τ/Tを示している。図より、動水勾配が大きいほど砂面の動きが大きくなり、また、位相差は0に近づいていることがわかる。周期が1sで動水勾配が0.6付近では、砂面の全振幅は波高の10%近くあり、位相も約周期の1/10(40°)程度進んでいる。データはばらついているが、これは砂面の振動が必ずしも

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Fig-5 Wave Transmission Coefficient(hs=20cm).

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Fig-6 Wave-induced Pore Presure Variation.

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Hig-7 Amp1itude of Sand Movement.

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Fig-8 Phase of Sand Movement.

 

 

 

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